カラッと晴れてなくて、
暑くてジメジメして、蒸されたような気分・・・・・
そんな気分のついでに
イギリスのゴースト話を一席。
(あんまし、こわくないけどね)
イギリス、
もともと幽霊話の多いお国柄ですが、
私達一家が十数年前に住んでいた
バース(Bath)という街にも
いろいろと有名な幽霊話がありました。
そもそも
私がイギリスに住むことに気が進まなかったのは、
見るからにオバケ がいっぱい出そうな街並みだから
ってのもあるのですが、
私達が住むことになったアパートの近くに
ヴィクトリア女王時代のメイドさんの幽霊が出ることで
有名なパブがあって
(しかも、とってもフレンドリー なメイドさん)、
なんでも、そのパブのオーナーさんが変わったところ
メイドさんの幽霊も元のオーナーさんにくっついて
一緒に引っ越したらしい、なんて話が
地元新聞にデカデカと載っていて、
なんだか少し安心したものでした。
(近所の幽霊人口減ったな、と)
で、
このパブからしばらく道を下ったところに
バースでも大変有名な
『黒い帽子をかぶった男』
の幽霊が出ると言われています。
いや、
出るんです。
バースには
観光の一環としてゴースト・ツアー なるものがあるのですが、
1970年代だったか80年代だったかに、
ある夜、このゴースト・ツアーの面々の前に
この『黒い帽子の男』が現れたそうです。
ツアーの面々の半分はその場を逃げ出し、
ガイドさんは腰を抜かしたあげく
この仕事をやめてしまったんだとか。
そして、
この『黒い帽子の男』さん、
身元もわかっています。
よく目撃される場所の近くに住んでいた
Arthur Phillip(アーサー・フィリップ)提督(1738-1814)。
植民地時代のオーストラリアのニュー・サウス・ウェールズ州に
最初の知事として赴任した人らしいです。
いつも同じ黒い帽子に長いマントという姿で
(どうやら帽子の型は上の絵のものとは違うらしい)
未だに辺りをお散歩しているのか、
この50年ほどの間、
目撃情報がとても多いらしく、
「歩いていたらすれ違って、
一見、生きている人のようにしか思えなかった。
でも、振り返ったら、どこにもいなかった。」
なんて証言もあり・・・・・・。
バースに住んでいた頃の、ある日のこと。
街の中心部に買い物に出かけて、
アンティーク・ショップが多く並ぶ通りなどの坂を
えっさえっさ上って、
やっと通りの上にたどり着いた時、
目の前から
全身黒づくめの男性が歩いてきました。
古めかしいデザインの
つば付きの黒い帽子。
まだ真冬でもないのに
やはり黒い、フワッと広がるようなマント。
「この現代で
珍しい服装をする人もいるもんだな(コスプレ?)・・・・・」
と思いながら
その男性とすれ違った0.なんぼ秒か後に、
「!!!」
まさか?
まさか??
でも、生きてる人みたいだったよ?
でも、生きてる人みたいに見えるんだっけ??
あ、ここって、まさに出る場所だっけ???
え? え?? えぇ???
1秒ほど
頭がグルグルし、
ごめんなさい、
私、
彼が歩いて行った方向を
振り返ることができませんでした・・・・・
なので、
彼が『黒い帽子の男』なのかどうか
確かめられませんでした・・・・・・・・
だって、だって、
振り返って、どこにもいなかったら、
その日から私眠れなくなるもん
(この世で一番こわいのはオバケ だった私)
ただひとつ、申し上げておきますと、
黒い帽子に黒いマントの、コスプレちっくなこの男性
(強いて言えば、マントがやや短めだったような?)、
なかなかのイケメンでございました。
果たして、ご本人なんだか、どーなんだか。
私がイギリス在住中に
唯一、ゴーストか?という人に遭遇した一件でした。
イケメンなら、もう一度見てみたい・・・・・・
気はしてません、残念ながら
でも、バースに行かれる方は
Bennet Street(ベネット・ストリート)の辺りを
散策してみてね。
フィリップ提督が
黒い帽子にマントを翻して
会いに来てくれるかもよ